七三四

                  一九二六、一〇、一三、

   

   白菜はみな水いろで

   強いエンタシスある柱であるが

   この盗まれたところでは

   たゞまっ白な礎ばかり

   この残された推古時代の礎の

   一つに一つ

   おれは萱穂を飾って置かう

   それが当分

   自然思想の勝利といふやうに

   盗人がこゝを通るたびに

   初冬の風になびき日にひかって

   それを嘲らうするものである

   そして畑がみんな萱穂に代るとしても

   つめたい風がそれを吹き

   川がひかってすべるかぎり

   やっぱりこちらの勝利である

   

 


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