白菜はみな水いろで

   強いエンタシスある柱であるが

   その盗まれたところでは

   たゞまっ白な礎ばかり

   この残された推古時代の礎の、一つに一つ、

   おれは萱穂を飾って置かう

   それが当分

   東洋思想の勝利といふやうに

   盗人がこゝを通るたびに

   初冬の風になびき日にひかって

   それを嘲らうするものである

   そしてはたけがみんな萱穂に代るとしても

   つめたい風がそれを吹き

   川がひかってすべるかぎり

   やっぱりわれらの勝利である

   

 


   ←前の草稿形態へ

次の草稿形態へ→