驟雨(カダチ)はそゝぎ

   耕起した藪は

   いっさんに土のけむりや湯気をあげる

   ぬれて

   ぼうとして

   ぎしぎし歯噛みしながら

   なにを憎めばいゝか考へてゐる

    ……枯れた羊歯の葉

      菊芋の茎

      こはれて散った塔のまはりを

      いまいそがしく往来する蟻……

   杉にそゝいで

   カダチは白いしぶきをあげる

 

 


   注:本文[驟雨]の[驟]は、サンズイにツクリ[聚]。

   ←前の草稿形態へ

次の草稿形態へ→