七二八

                  一九二六、七、一五、

   

   雨はうつゝにそゝぎ

   開墾した藪は

   土のけむりと湯気とをあげて

    ……森の向ふのしろびかり……

   ぬれてぼうとして

   ひとりぎしぎし歯噛みする

   いったいこれがおれなのか

    ……枯れた羊歯の葉

      菊芋の茎

      壊れて散ったその塔を

      いまいそがしく往来する蟻……

   杉には白いしぶきをあげる

   この七月のひなかの雨

   熱く切ないわたしから

   あゝ愛憎の図式を洗へ

 

 


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