水よりも濃いなだれの風や
縦横な鳥のすだきのなかで
ここらはまるで妖精たちの棲家のやう
つめたい霧のジェリイもあれば
桃いろに飛ぶ雲もある
またはひまつの緑茶をつけたカステラや
茶や橄欖の蛇紋岩(サーペンティン)や
青いつりがねにんじんの
花にきらめく一億の露
みやまうゐきゃうの香料から
碧い眼をした蜂のふるふ
蜜やさまざまのエッセンス
オランダ風の金米糖でも
wavellite の牛酪でも
またこめつがは青いザラメでできてゐて
さきにはみんな干した葡萄がついてゐる
青く湛える北上河谷のこどもたち
この青ぞらの淵に立つ
巨きな菓子の塔こそは
白堊紀からの贈物
あらゆる塵やつかれを払ふ
その童心の源である