水と濃きなだれの風や

   縦横の小鳥すだき

   日は山の下背にあれど

   ぬかとべる雲は燃えたり

   つめたい霧のジェリイもあれば

   はひまつは緑茶をつけし

   カステラのさましてならび

   橄欖の蛇紋岩(サーペンティン)

   ブリーベルきらめく露と

   うゐきゃうの奇しき香料

   碧き眼の蜂はふるひ

   金米糖でも

   wavellite の牛酪でも

   青いザラメつけしこめつが

   そははやに葡萄を生めり

   あゝ青くうちも湛へて

   ひでりする野のこどもたち

   さながらの菓子ともなりて

   この山のこゝにそびえば

   そのむかし蜜うちなめて

   幾年を経しとつたへし

   この山のあやしきすがた

   菓子をもて

   盛られしに似る

 

 


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