銀河鉄道の一月
一九二六、一、一七、
ぴかぴかぴかぴか(ピカピカピカピカ)田圃の雪がひかってくる
河岸の樹がみなまっ白に凍ってゐる
うしろは河がうららかな火や氷を載せて
ぼんやり南へすべってゐる
(よう) くるみの木、 ジュグランダァ 鏡を吊し
(よう) かはやなぎ サリックスランダァ 鏡を吊し
はんのき アルヌスランダァ鏡を吊し
からまつ ラリクスランダァ鏡を吊し
グランド電柱 フサランダァ 鏡を吊し
さはぐるみ ジュグランダァ 鏡を吊し
桑の木 モルスランダ 鏡を……
ははは、汽車がたうたうなゝめに列をよこぎったので
桑の氷華はふさふさ風にひかって落ちる