銀河鉄道の一月

   

   ぴかぴかぴかぴか田圃(たんぼ)の雪がひかつてくる

   河岸(かはぎし)の樹がみなまつ白に凍つてゐる

   うしろは河がうらゝかな火や氷を載せて

   ぼんやり南へすべつてゐる

   よう くるみの木 ジユグランダア 鏡をつるし

   よう かはやなぎ サリツクスランダア 鏡を吊し

   はんのき アルヌスランダア 鏡をつるし

   からまつ ラリクスランダア かゞみを吊し

   グランド電柱(でんちゆう) フサランダア かがみをつるし

   さはぐるみ ジユグランダア 鏡をつるし

   桑の木 モルスランダ 鏡を…………

   ははは 汽車がたうたう斜(なな)めに列をよこぎつたので

   桑の氷華(ひやうくわ)は ふさふさ風にひかつて落ちる

 

 


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