三三一

     凍雨

                  一九二四、一〇、二四、

   

   つめたい雨も木の葉も降り

   町へでかけた用足(タシ)たちも、けらをぬらして帰ってくる

    ……凍らす風によみがへり

      かなしい雲にわらふもの……

   牆林(ヤグネ)は黝く

   上根子堰の

   風のあかりやおぼろな雲に洗はれながら

   きやらの樹が塔のかたちにつくられたり

   崖いっぱいの萓の根株が、妖しい紅にけむったり

    ……さゝやく風に目を瞑り

      みぞれの雲にあえぐもの……

   北は鍋倉円満寺、南は太田飯豊の

   小さな百の組合を

   凍ってめぐる白の天涯

 

 


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