十一月

 

     県 道

   

   つめたい雨も木の葉も降り

   町へでかけた用足(タシ)たちも

   半簑(ケラ)をぬらして帰つてくる

    ……凍らす風によみがへり

       かなしい雲にわらふもの……

   牆林(エグネ)は黝く

   上根子堰(かみねこぜき)の水もせせらぎ

   風のあかりやおぼろな雲に洗はれながら

   きやらの樹が塔のかたちに刈りつまれたり

   崖いつぱいの萓の根株が

   妖(あや)しい紅(べに)をくゆらしたり

    ……さゝやく風に目をつむり

      みぞれの雲に喘ぐもの……

   北は鍋倉(なべぐら)円満寺

   南は太田飯豊(いひどよ)

   小さな百の組合を

   凍つてめぐる白の天涯

 

 


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