(断片1 表)

 

     稲草が魔法使ひの眼鏡で見たといふふうで

     天があかるい孔雀石板で張られてゐるこのひなか

     赤ペイントの高圧線に

     からだをまげてとまってゐるのは何鳥だらう

 

   (断片2 表)

 

   (待てよ

    ははあ あいつはかはせみだ

    かはせみさ めだまの赤い

    あゝミチア、今日もずゐぶん暑いねえ)

   (何よミチアって)

   (あいつの名だよ

    ミの字はせなかのなめらかさ

    チの字はくちのとがった工合

    アの字はつまり愛称だな)

 

   (断片2 裏)

 

     ら

     ないなあ

    飛んだ 飛んだ

    はり蝉のやう

     てもこんどは

   月光いろの繖形

   はがねの翅の甲虫

   一ぺんに千飛びあ

   あ大

 

 


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