一二六

     

                  一九二四、五、二二、

   

   一ぴきのエーシャ牛が

   草と地靄に角をこすってあそんでゐる

   うしろではパルプ工場の火照りが

   夜なかの雲を焦がしてゐるし

   低い砂丘の向ふでは

   海がどんどん叩いてゐる

   しかもじつに掬っても呑めさうな

   黄銅いろの月あかりなので

   牛はやっぱり機嫌よく

   こんどは角で柵を叩いてあそんでゐる

 

 


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