一八

     人首(ひとかべ)

                  一九二四、三、二五、

   

   雪や雑木にあさひがふり

   丘のはざまのいっぽん町は

   あさましいまで光ってゐる

   そのうしろにはのっそり白い五輪峠

   五輪峠のいたゞきで

   鉛の雲が湧きまた翔け

   南につゞく種山ヶ原のなだらは

   渦巻くひかりの霧でいっぱい

   つめたい風の合間から

   ひばりの声も聞えてくるし

   やどり木のまりには艸いろのもあって

   その梢から落ちるやうに飛ぶ鳥もある

 

 


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