断片1(裏面は「銀河鉄道の夜」草稿第六一葉)

 

        心象スケッチ

          小岩井農場

 

           ※ 第一綴

   私は、ずゐぶんす早く汽車から降りた。

   そのために、雲がぎらっと光ったくらゐだ

   けれどももっと早い人はある。

   化学の古川さんに似た人だ。

   (以下空白)

 

 

   断片2(裏面は「銀河鉄道の夜」草稿第六二葉)

 

          小岩井農場

 

          ※第一綴

   私は、ずゐぶんす早く汽車から降りた。

   そのために、雲がぎらっと光ったくらゐだ。

   けれどももっと早い人はある、

   化学の古川さんに似た人だ。

   あのオリーヴのせびろなどは

   そっくりをとなしい農学士だ。

   さっき盛岡の停車場でも

   たしかに私はさう思ってゐた。

   この人が待合室から一足出るとき、

   ……私も出る。……

   馬車が一台立ってゐる。

   馭者が一言(こと)なにか云ふ。

   黒塗りのすてきな馬車だ、

   光沢(つや)消しだ。

   馬も上等のハックニー。

   この人はかすかにうなづき

   それからじぶんといふ小さな荷物を

   乗っけるといふ気軽な風で

   馬車にのぼって腰掛ける。

   わづかの光の交錯だ。

   そのオリーヴのせなかが

 

 

   断片3(裏面は「銀河鉄道の夜」草稿第六三葉)

 

           小岩井農場

 

   断片4(裏面は「銀河鉄道の夜」草稿第六〇葉)

 

           剽悍な桜

   

 


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