川しろじろとまじはりて

   うたかたしげきこのほとり

   われは卑しき鬼となり

   きみはを―――を―――ぬ

   盤に干割れ

 

   病きつかれ

   わが行けば

   卑しき鬼の

   すがたかな

   そらのひかりの

   けはしけれ

 

   青じろ

   ひわれ

   ちらばる蘆

 

   泥岩青くひゞいりて

   尖れるくるみ埋めしを

   干割れて青き泥岩に

   はかなきかなやわが影の

   いやしき鬼のすがたかな

 

   蒼茫として夏の風

   草のみどりをひるがへし

   うら濁る水はてしなく

   きみがすくよの影を濯ふ

   さゝやきながら洗ふなり

 

      うら濁る

   磐に落ちて

   あゝきみの影すくよかに

   こゝはも修羅の渚なり

 

   ちらばる蘆の

   ひら吹きて

   あやしき文字を

   織りなしぬ

 

   生きんに生きず

   死になんに

   得こそ死なれぬ

   わが影を

 

 


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