〔川しろじろとまじはりて〕   

 

   川しろじろとまじはりて、 うたかたしげきこのほとり、

   病きつかれわが行けば、  そらのひかりぞ身を責むる。

 

   宿世のくるみはんの毬、  干割れて青き泥岩に、

   はかなきかなやわが影の、 卑しき鬼をうつすなり。

 

   蒼茫として夏の風、    草のみどりをひるがへし、

   ちらばる蘆のひら吹きて、 あやしき文字を織りなしぬ。

 

   生きんに生きず死になんに、得こそ死なれぬわが影を、

   うら濁る水はてしなく、  さゝやきしげく洗ふなり。

 

 


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