巨なるどろの根もとに
水をけてうちはねたるは
式古き水きねにこそ
きみしたひこゝにきたれば
草の毛や春の雲さび
月の面をかすめて過ぎつ
おぼろにも鈴の鳴れるは
その家の右袖にして
まどろめる馬の胸らし
廐肥の束七十ばかり
月しろに並べ干されぬ
をちこちに鈴のさまして
かすかにも啼く鳥あるは
保護色と云はゞ云ふべし
きねはまた月のかけらを
ぼそぼそに落してあがり
鈴の音やゝ明らけし
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