かすかに汽車のゆれそめて

   なにか惑へるこゝろあり

   

   このことまこと正しくて

   身も軽けんと思ひしに

   はやくもこゝにあらたなる

   なやみぞつもりそめにけり

   

   げにあらたなるよきみちを

   得しとし思ふてふことは

   たゞあらたなるなやみをば

   得してふことにほかならず

   

   あゝいつの日か病みはてし

   わが身恥なく生くるを得んや

 

 


   ←前の草稿形態へ

次の草稿形態へ→