みんな食事もすんだらしく

   また改めてごぼんごぼんとどらを叩いたり

   樹にこだまさせて柏手をうったり

   林のなかはにぎやかになった

      (自然に従って自然に謝し

       自らと闘って他に謝せといふ)

   二里も遠くから黒くわだかまって見え

   幾百年かをこの野原中の目標になったこの林

   仰げばうす光る巻積雲に泛んで

   そらを旅するこの杉の樹群

      (自然と闘って自然に勝ち

       自らを挺して非を撃てといふ)

   施無畏の大士遠く去ってうつろな拝殿のうすくらがり

   古くからの幡や丹群青で彩った和算の額の間に

   声あげて声あげて慟哭したい

   鳥居はひるの郊野にひらく

 


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