〔まぶしくやつれて〕

   

   まぶしくやつれて、

   病気がそのまゝ罪だとされる

   風のなかへ出てきて

   罪を待つといふふうに

   みんなの前にしょんぼり立つ

   みんなはなにかちぐはぐに

   崖の杉だの雲だのを見る

   家のまはりにめちゃくちゃに植えられた稲は

   いま弱々と徒長して

   どんどん風に吹かれてゐる

   苗代にも波が立てば

   雲もちゞれてぎらぎら飛ぶ

   

   陽のなかで風が吹いて吹いて

   ひとはさびしく立ちつくす

   畔のすかんぼもゆれれば

   家ぐねの杉もひゅうひゅう鳴る