〔銀のモナドのちらばる虚空〕
一九二七、五、九、
銀のモナドのちらばる虚空
すべて青らむ禁欲の天に立つ
聖く清浄な春の樹の列
みみづくの頭のかたちした鳥ヶ森の雪なかばとけ
小くやさしい貴女たちのゆゑに
雪やなぎひかれば
すももの花のしたで
黒衣の童子にまかれる燐酸もひかる
雪と青い天とつらなる尾根が
胆礬でもって染められたのだ
こっちは田を鋤く馬と白いシャツ
芽をださぬ栗の木の天蓋に
無数におりるガラスの小鳥
尾根いよよ青く惑む
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