〔桃いろの〕
一九二七、四、二四、
桃いろの
アガーチナスな春より少しおくれて
ぼんやりした黄いろの巨きな鳥がやってきた
それはそこらのまだつめたい空間に
光るペッパーの点々をふりまき
またひとびとの粗暴なちからを盗みあつめて
ちゃうど太陽に熟した黄金の棘ができるころ
東の方へ飛んで行ったのだ
さうして
この歳はもうみんなには
仕事のなかに芸術を感じ得る
その力強さが喪はれてゐた
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