〔レアカーを引きナイフをもって〕
一九二七、四、二六、
レアカーを引きナイフをもって
この砂畑に来て見れば
うら青い雪菜の列に
微かな春の霜も下り
西の残りの月しろの
やさしく刷いたかほりも這ふ
しからばぼくは今日慣例の購買者に
これを配分し届けるにあたって
これらの清麗な景品をば
いかにいっしょに添へたらいゝか
しばし腕組み眺める次第
すでにひがしは黄ばらのわらひをけぶし
針を泛べる川からは
温い梵(アニマ)の呼吸が襲ふ
←前の草稿形態へ