一〇四六

     悍馬

                  一九二七、四、二四、

   

   廐肥(こえ)つけ馬がはねるはねる

   ひばのならんだ坂上で

   その黒馬がはねるはねる

   たぶんはこんな青びいどろの天上へ

   竜にかはってのぼらうとして焦るのだらう

   その廐肥(こえ)一つ陽にこぼれ

   黝い菅藻の袍を着た

   アレキサンダー封介が

   押へる押へる押へてゐる

     雲ののろしは四方に騰り

     萱草芽を出す崖腹に

     マグノリアの花と霞の青

   

 


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