一〇三七

     宅地

                  一九二七、四、一三、

   

   日が黒雲の、

   一つの棘にかくれれば

   やけに播かれた石灰窒素の砂利畑に

   さびしく桐の枝が落ち

   鼻の尖った満州豚は

   小屋のなかから ぽくっと斜めに

   頭には石灰窒素をくっつけながらはね出して

   玉菜の茎をほじくりあるく

   家のなかではひとり置かれた赤ん坊が

   片っ方の眼をつぶってねむる

   

 


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