一〇三六

     燕麦播き

                  一九二七、四、一一、

   

   白いオートの種子を播き

   間に汗もこぼれれば

   畑の砂は暗くて熱く

   藪は陰気にくもってゐる

   下流はしづかな鉛の水と

   尾を曳く雲にもつれるけむり

   つかれは巨きな孔雀に酸えて

   松の林や地平線

   たゞ青々と横はる

   

 


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