生温い南の風が
川を遡ってやってきて
きみのかつぎをひるがへし
またその人の頬を吹く
紺紙の雲に日が熟し
川が鉛と銀とをながし
楊の花芽崩れるなかに
きみは次々畦を掘り
人は尊い供物のやうに
牛糞を捧げて来れば
風は下流から吹いて吹いて
去年のちがやもかさかさ鳴り
キャベヂの苗は萎れてそよぐ
チーゼル
ダイアデム
緑金いろの地しばりの蔓
風は白い砂を吹いて吹いて
もういくつの小さな砂丘が
畑のなかにできたことか
汗と戦慄
牛糞に集る緑青いろの蠅
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