一〇一九

     札幌市

                  一九二七、三、廿八、

   

   遠くなだれる灰光と

   貨物列車のふるひのなかで

   わたくしは湧きあがるかなしさを

   きれぎれ青い神話に変へて

   開拓紀念の楡の広場に

   力いっぱい撒いたけれども

   小鳥はそれを啄まなかった

 

   


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