七三九

     〔霧がひどくて手が凍えるな〕

                  一九二六、九、一三、

   

   霧がひどくて手が凍えるな

    ……馬もぶるっとももをさせる……

   縄をなげてくれ縄を

    ……すすきの穂も水霜でぐっしょり

      あゝはやく日が照るといゝ……

   雉子が啼いてるぞ 雉子が

   おまへの家のなからしい

    ……誰も居なくなった家のなかを

      餌を漁って大股にあるきながら

      雉子が叫んでゐるのだらうか……

   

 


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