はるかな作業
一九二六、九、一〇、
すゝきの花や暗い林の向ふのはうで
なにかちがった風の品種が鳴ってゐる
ぎらぎら縮れた雲と青陽の格子のなかで
風があやしい匂ひをもってふるえてゐる
そらをうつして空虚(うつろ)な川と
黒いけむりをわづかにあげる
瓦工場のうしろの台に
冴え冴えとしてまたひゞき
ここの畑できいてゐれば
楽しく明るさうなその仕事だけれども
晩にはそこから忠一が
つかれて憤って帰ってくる
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