七二八

   〔驟雨(カダチ)はそそぎ〕

                  一九二六、七、一五、

   

   驟雨(カダチ)はそそぎ

   土のけむりはいっさんにあがる

     あゝもうもうと立つ湯気のなかに

     わたくしはひとり仕事を忿(いか)

       ……枯れた羊歯の葉

         野ばらの根

         壊れて散ったその塔を

         いまいそがしくめぐる蟻……

   杉は驟雨のながれを懸け

   またほの白いしぶきをあげる

 

 


   注:タイトル及び本文1、9行目[驟雨]の[驟]は、サンズイにツクリ[聚]。

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