蛇踊
一九二六、六、二〇、
この萌えだした柳の枝で
すこしあたまを叩いてやらう
叩かれてぞろぞろまはる
はなはだ艶で無器用だ
がらがら蛇でもない癖に
しっぽをざらざら鳴らすのは
それ響尾蛇に非るも
蛇はその尾を鳴らすめり
青い
青い
紋も青くて立派だし
りっぱな節奏(リズム)もある
さう そのポーズ
いまの主題は
「白びかりある攻勢」とでもいふのだらう
しまひにうすい桃いろの
口を大きく開くのが
役者のこわさ半分に
所謂見栄を切るのにあたる
もすこしぴちゃぴちゃ叩いてやらう
今日は廐肥をいぢるので
蛇にも手などを出すわけだ
けれども蛇よ、
どうも、おまへにからかってると
酸っぱいトマトをたべてるやうだ
おまへの方で遁げるのか
それではひとつわたしも遁げる