七一一

     小憩

                  一九二六、五、一五、

   

   レーキを投げてねころべば

   赤い萓芽が頭を刺すし

   起きれば川がぎらぎらひかる

   つめたい風の海蛇が

   もう幾脉も幾脉も

   野ばらの藪をすり抜けて

   川をななめに溯ってゐるし

   向ふ岸には

   蒼い衣のヨハネが下りて

   すぎなの胞子(たね)を喰べてゐる

   あゝあ

   またあたらしいサーペントだ

 


   ←前の草稿形態へ

次の草稿形態へ→