〔寅吉山の北のなだらで〕
一九二五、一、二五、
寅吉山の北のなだらで
雪がまばゆいタングステンの盤になり
山稜の樹の昇羃列が
そこに華麗な像をうつし
またふもとでは
枝打ちされた緑褐色の松並が
弧(アーク)線になってうかんでゐる
恍とした佇立のうちに
雲はばしゃばしゃ飛び
風は
中世騎士風の道徳をはこんでゐた
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