孤独と風童

   

   シグナルの赤いあかりもともったし

   そこらの雲もちらけてしまふ

   プラットフォームは

   Yの字をしたはしらだの

   犬の毛皮を着た農夫だの

   けふもすっかり酸えてしまった

   東へ行くの

   白いみかげの胃の方へかい

    さう ではおいで

   行きがけにねえ

   向ふの あの

   ぼんやりとした葡萄いろのそらを通って

   大荒沢や向ふはひどい雪ですと

   ぼくが云ったと云っとくれ

   ぢゃ さようなら

   樺の林の芽が噴くころにまたおいで

   こんどの童話はおまへのだから

 

 


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