林と思想

   

   そら、ね、ごらん

   むかふに霧にぬれてゐる

   蕈(きのこ)のかたちのちいさな林があるだらう

   あすこのとこへ

   わたしのかんがへが

   ずゐぶんはやく流れて行って

   みんな

   溶け込んでゐるのだよ

     こゝいらは蕗(ふき)の花(はな)でいっぱいだな

 

 


   注:本文9行目「ふき」は「くさかんむり」に「吹」

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