青柳教諭を送る

   

   秋雨にしとゞにぬれて

   きよらかに頬瘠せ青み

   おもはざる軍に行かん

   師はひとりおくり来ませり

 

   羊さへけふは群れゐず

   玉蜀黍つけし車も来ねば

   このみちの一すじ遠く

   雨はたゞ草をあらへり

 

   ともよ昨日かの秘め沼に

   石撃ちしなれはつみびと

   わびませる師にさきだちて

   そのわらひいとなめげなり

 

   南なる雨のけぶりに

   うす赤きシレージの塔

   かすかにもうかび出づるは

   この原もはやなかばなれ

 

 


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