萎花

   

   酒精のかほり硝銀の、       肌膚灼くにほひしかもあれ、

   大展覧の花むらは、        夏夜あざらに息づきぬ。

   

   そは牛飼ひの商ひの、       はた鉄うてるもろ人の、

   さこそつちかひはぐくみし、    四百の花のラムプなり。

   

   声さやかなるをとめらは、     おのおのよきに票を投げ、

   高木検事もホップ噛む、      にがきわらひを頬になしき。

   

   卓をめぐりて会長が、       メダルを懸くる午前二時、

   カクタス、ショウをおしなべて、  花はうつゝもあらざりき。

 

 


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