旱割れそめにし稲沼に、  いまころころと水鳴りて、

   

   待宵草に置く露も、    睡たき風に萎むなり。

   

   

   鬼げし風の襖子(あをし)着て、   児ら高らかに歌すれば、

   

   遠き讒誣の傷あとも、   緑青いろにひかるなり。

   

 


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