〔まなこをひらけば四月の風が〕

   

   まなこをひらけば四月の風が

   瑠璃のそらから崩れて来るし

   もみぢは嫩いうすあかい芽を

   窓いっぱいにひろげてゐる

   ゆふべからの血はまだとまらず

   みんなはわたくしをみつめてゐる

   

   またなまぬるく湧くものを

   吐くひとの誰ともしらず

   あをあをとわたくしはねむる

   いままたひたひを過ぎ行くものは

   あの死火山のいたゞきの

   清麗な一列の風だ