軍馬補充部主事

   

   うらうらと降ってくる陽ぢゃ

   うこんざくらも大きくなった

   まさに老幹とも云ふべきぢゃ

   花がときどき眠ったりさめたりするやうなのは

   うす雲のかげまたかげらうのためぢゃらう

   震天が走って居るな

   膝がまだ癒り切るまい

   列から出すといゝんぢゃが

   五番の圃地を目的に

   青塗りの播種車が

   から松を縫って行くのは

   はっは 拙者のタンクぢゃな

   何ぢゃあいつは

   さんさ踊りをやり居って

   ぴたりとみんな座り居ったぞ

   あすこは二十五番の圃地ぢゃ

   けさ高日技手が玉蜀播くとか云って

   四班を率ひ行き居ったのに

   ひばりが鳴いてはたけも青くかすんでゐる

   このまっぴるま踊ってゐるのはけしからん

   あの若ものは乗馬づぼんに

   ソフトカラなどつけ居って

   なかなかづ太いところがあるぞ

   これは一番討伐ぢゃ それ馳けい

   ははあ開所の祭りが近い

   今年もやっぱり去年のやうに

   各班みんな競争で

   なにか踊りをやるんぢゃな

   それではどうも仕方ない、

   馬のかしらを立て直しぢゃ

   さっきのうこんざくらをつんで

   家内に手紙を書くとしやう

 

 


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