保線工夫

   

   クレオソートも塗り

   飾りも済んだ電柱を

   六本積んでトロを控へて待ってると

   十時五分の貨物列車が

   日向をごろごろ通って行き

   一つの凾の戸口から

   むやみに黒いぶちのある

   仔牛が顔を出したので

   まっさきに立つ詮太がわらひ

   かしらもわらひみんなもわらひ

   小倉の服で四っ角ばって

   ポイントに立つメゴーグスカも

   口に手あてゝくすくす云ふ

   それからけむりの消えないうちに

   丁場のはしまでとばして行った

   ぎらぎらする雲の下で

   こどもらがあちこち

   缶にいなごをとってゐた