〔めづらしがって集ってくる〕

   

   〔冒頭一、二行不明〕

   

   〔十数字不明〕ちで

   

   〔約二行不明〕

   

   〔十数字不明〕めづらしがって集ってくる

   

   〔一、二行不明〕

   

   ひらりと二重マントを脱げば

   尻はしおったる黒綿入と

   メリヤス白の股引に

   ゴム長靴のおんいでたち

   さてもあなたは玄関で

   斜めにしょった風呂敷をおろし

   裾もおろしてまづ一応のご挨拶

   拙者もこっちで伺へば

   その声けだし凛として

   何か拙者もいゝ心地

   あなたが風呂敷包みをといて

   紫朱珍(だか何だか)の大法衣をばつまみ上げ

   逆光線のまったゞ中に

   さっとまばゆく着たまへば

   更にひかって吹雪は過ぎ

   紫いろの衣の袖は

   匂ふすみれの花の滝

   集まってくるこどもらは

   鼻をたらしたり

   髪をばしゃばしゃしながら

   何か立派な極楽鳥でも見るふうなので

   じつに訓導が制すれども制すれどもきかず

   あつかひ兼ねてゐるひまに

   あなたは早くも風呂敷をたゝみ

   壁にかかった二重マントのかくしに入れ

   やゝ快活に床をふみ

   おももちむしろ颯爽として

   丹田に力を加へ

   職員室に来られます

   そこで拙者も立ちあがれば

   あなたは禅機 横眼のひかり

   やっと一声気合もかけまじきけはひ

   いのししのやうな髪毛した

   〔数文字不明〕

   〔以下不明〕