〔かのiodineの雲のかた〕

   

   かの iodine の雲のかた

   三番廐に用ありと

   おとめはさきに行きけるを

   いまこの道をもどり来て

   柳の絮はしきりに飛び

   松の風鳴れども

   おとめが去りしかなたには

   雲ひっそりと音もなく

   山の茶褐の脈の上を

   雲影次次すべり行けり。

   あゝ俄かにもその緑なる

   まぐさの丘の天末線より

   赤又青の巾したる

   おみな鎌をたづさへて

   あらはれ出でぬ