〔融鉄よりの陰極線に〕

   

   融鉄よりの陰極線に

   なかば眼を癈しつゝ

   薄暮とさびしき竹の風のなかに

   耳を尖らしうちゐる技師の

   まこと不遇にあらざりせば

   畳まざるらんあやしき皺

   嘲けるごとくその唇を囲みたらずや