〔南方に汽車いたるにつれて〕
南方に汽車いたるにつれて
何ぞ泣くごとき瞳の数の多きや
そは辛酸の甚しきといふのみにはあらず
北方に自然のなほ愍むるものあり
南方にたゞ人の冷きあるのみ