〔仰臥し右のあしうらを〕

   

   仰臥し右のあしうらを

   左の膝につけて

   胸を苦しと合掌し奉る

   忽ち

   われは巌頭にあり

   飛瀑百丈

   我右側より落つ

   幾条の曲面汞の如く

   亦命ある水の如く

   落ちては

   堂々轟々として

   その脚を見ず

   わが六根を洗ひ

   毛孔を洗ひ

   筋の一一の繊維を濯ぎ

   なべての細胞を滌ぎて

   清浄なれば

   また病苦あるを知らず

   われ恍として

   前渓に日影の移るを見る

   

 

 


   注:本文11行目[堂々]の[堂]は、サンズイにツクリは[堂]。