〔停車場の向ふに河原があって〕

   

   停車場の向ふに河原があって

   水がちよろちよろ流れてゐると

   わたしもおもひきみも云ふ

   ところがどうだあの水なのだ

   上流でげい美の巨きな岩を

   碑のやうにめぐったり

   滝にかかって佐藤猊嵓先生を

   幾たびあったがせたりする水が

   停車場の前にがたびしの自働車が三台も居て

   運転手たちは日に照らされて

   ものぐささうにしてゐるのだが

   ところがどうだあの自働車が

   ここから横沢へかけて

   傾配つきの九十度近いカーブも切り

   径一尺の赤い巨礫の道路も飛ぶ

   そのすさまじい自働車なのだ