花鳥図譜 雀
青いかへでのなかで
からだをくしゃくしゃにして
そのはねを繕ってゐる瘠せた雀
肩の羽だけ四五枚張って陽にかざせば
それは貝殻のやうに見える
羽をとぢれば、
あんまりやせてゐるので雀のやうでない
一枝あがるそらの光
一枝あがる青いかへで
二枝あがって外れて桜の枝にうつれば
風が吹いて
雀はちょっと首をまげ蜜蜂みたいな感じになる
虻が一疋下へとび
たちまち雀の大上段
雀は枝にとまったまゝで早くもそれをたべてゐる
嘴二度ほど微かにうごく
雀はのぼる光の枝
畏まったといふ形になって
まっ向地面へ降りたちます