一〇八五

     〔午はつかれて塚にねむれば〕

                       七、二四、

   

   午はつかれて塚にねむれば

   積乱雲一つひかって翔けるころ

   七庚申の碑はつめたくて

      (田の草取に何故唄はれぬのか

       草刈になぜうたはぬか

       またあの崖の灰いろの小屋

       籾磨になぜうたはないのか)

   北の和風は松に鳴り

   稲の青い鎗ほのかに旋り

   きむぽうげみな

   青緑或は

   ヘンルータカーミンの金米糖を示す

      (峡流の水のやうに

       十一月の風のやうに

       絶えず爽かに疲れぬ巨身を得るために)